甲府地方裁判所谷村支部 事件番号不詳〔1〕 判決
主文
被告人渡〓彌太郎を禁錮四月に、同梶原徳忠を禁錮三月に、同小林正太郎、同渡〓平和を各罰金七千円に、同渡〓国雄、同渡〓平五郎を各罰金五千円に処する。
被告人小林正太郎、同渡〓平和、同渡〓国雄、同渡〓平五郎において右の罰金を完納することができないときはいずれも金一百円を一日に換算したる期間当該被告人を労役場に留置する。
被告人渡〓彌太郎、同梶原徳忠に対しては本裁判確定の日からいずれも四年間右刑の執行を猶予する。
被告人小林正太郎、同渡〓平和、同渡〓国雄、同渡〓平五郎に対してはいずれも公職選挙法第二百五十二条第一項所定の期間を同条第二項により本裁判確定の日から三年間に短縮する。
訴訟費用については弁護人原総司に支給したる分は被告人渡〓平和と同渡〓平五郎の均分負担とし、証人渡〓元貞、同吉田時次郎に支給したる分は被告人渡〓彌太郎、同梶原徳忠の均分負担とする。
理由
罪となるべき事実
昭和二十七年十月一日施行の衆議院議員選挙の山梨県南都留郡鳴沢村役場に設置された同村第一投票区投票所の投票に際し第一、被告人渡〓彌太郎、同梶原徳忠、同小林正太郎及同渡〓国雄は他人をして詐欺投票を行わしめんことを共謀し、被告人小林正太郎は同日同被告人方で選挙人である自己及び家族、小林たけの、同重兵、同むら子名義の各投票所入場券四枚を被告人梶原徳忠に交付し同被告人は、同日同村内道路上で之を被告人渡〓彌太郎に交付し、被告人渡〓国雄は同日同被告人方で選挙人である家族渡〓よし名義の投票所入場券一枚を梶原一を介して被告人梶原徳忠に交付し、同被告人は同日同村内道路上で之を被告人渡〓彌太郎に交付し、同被告人は前記他人名義の投票所入場券合計五枚の交付を受けた上
(一) 同日同村被告人渡〓平和方に於て同被告に対し前記他人名義の入場券の中一枚を交付して詐欺投票を行うよう申向け因て同被告人をして同日右投票所に於て投票所の事務に従事せる同村選挙管理委員会職員清水英吉、同渡〓栄に対し右他人名義の入場券一枚を提出して選挙人たる右他人の氏名を詐称し、同職員より投票用紙一枚の交付を受け之に候補者の氏名を記載して投票せしめ
(二) 同日前記投票所附近及被告人渡〓平五郎方に於て同被告人に対し前記他人名義の入場券の中二枚を(二枚の内一枚は被告人渡〓平和を介し)交付して詐欺投票を行うよう申向け因つて同被告人をして同日右投票所に於て前記投票事務担当職員に対し右他人名義の投票所入場券二枚を提出して選挙人たる他人の氏名を詐称し同職員より投票用紙二枚の交付を受け之に夫々候補者の氏名を記載して投票せしめ
(三) 同日被告人渡〓彌太郎方に於て渡〓四女子に対し前記他人名義の入場券の中一枚を交付して詐欺投票を行うよう申向け因て同人をして同日右投票所に於て前記投票事務担当職員に対し右他人名義の入場券一枚を提出して選挙人たる右他人の氏名を詐称し同職員より投票用紙一枚の交付を受け之に候補者の氏名を記載して投票せしめ
(四) 同日被告人渡〓彌太郎方に於て小林道子を介し渡〓仁子に対し前記他人名義の入場券の中一枚を交付して詐欺投票を行うよう申向け因て同人をして同日右投票所に於て前記投票事務担当職員に対し右他人名義の入場券一枚を提出して選挙人たる右他人の氏名を詐称し同職員より投票用紙一枚の交付を受け之に候補者の氏名を記載して投票せしめ
て以て何れも詐欺投票の教唆を為し
第二、被告人渡〓平和は(省略)
第三、被告人渡〓平五郎は(省略)
第四、(一)被告人渡〓国雄は(省略)
(二)被告人渡〓国雄は(省略)
第五、被告人渡〓彌太郎は(省略)
たものである。
証拠の標目(省略)
法律の適用
法律によると被告人渡〓彌太郎同梶原徳忠同小林正太郎同渡〓国雄の判示第一(一)乃至(四)の各所為は公職選挙法第二百三十七条第二項刑法第六十一条同法第六十条罰金等臨時措置法第二条第四条に同渡〓国雄の判示第四(一)の所為は同じく同法第二百三十七条第二項第六十一条罰金等臨時措置法第二条第四条に被告人渡〓平和の判示第二同渡〓平五郎の判示第三同渡〓国雄の判示第四(二)同渡〓彌太郎の判示第五の各所為はいずれも同法第二百三十七条第二項罰金等臨時措置法第二条第四条に該当するところ被告人渡〓彌太郎の判示第一(一)乃至(四)と判示第五の各所為被告人梶原徳忠の判示第一(一)乃至(四)の各所為同小林正太郎の判示第一(一)乃至(四)の各所為同渡〓国雄の判示第一(一)乃至(四)と判示第四(一)(二)の各所為は刑法第四十五条前段の併合罪であるから被告人渡〓彌太郎同梶原徳忠についてはその所定刑中いずれも禁錮刑を選択し同法第四十七条本文第十条によつて犯情最も重いと認める判示第一(二)の詐欺投票教唆の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人小林正太郎の判示第一(一)乃至(四)同渡〓国雄の判示第一(一)乃至(四)と判示第四(一)(二)の各所為は同じく刑法第四十五条前段の併合罪であるからその所定刑中罰金刑を選択し刑法第四十八条第二項によつて各罪について定めたる罰金の合算額以下において被告人渡〓平和同渡〓平五郎についてはその所定刑中罰金刑を選択しその定むる罰金額の範囲内において主文第一項掲記の通り量刑処断し被告人小林正太郎同渡〓国雄同渡〓平和同渡〓平五郎において右の罰金を完納することができないときは刑法第十八条によつていずれも金一百円を一日に換算したる期間当該被告人をそれぞれ労役場に留置することとし被告人渡〓彌太郎同梶原徳忠に対しては情状に因り刑法第二十五条を適用して本裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予し被告人小林正太郎同渡〓国雄同渡〓平和同渡〓平五郎に対しては情状に因りいずれも公職選挙法第二百五十二条第一項所定の期間を同条第二項により本裁判確定の日から三年間に短縮し訴訟費用については刑事訴訟法第百八十一条により弁護人原総司に支給したる分は被告人渡〓平和と同渡〓平五郎の均分負担とし証人渡〓元貞同吉田時次郎に支給したる分は被告人渡〓彌太郎同梶原徳忠の均分負担とする。
よつて主文の通り判決する。(昭和二八年二月二六日甲府地方裁判所谷村支部)